1999年
旧指導要領解説算数編80-2
a. 乗法の意味 (ア)
乗法は、一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求める場合に用いられる。つまり、同じ数を何回も加える加法、すなわち累加の簡潔な表現として乗法による表現が用いられることになる。しかも、単に表現として簡潔であるばかりでなく、古来から受け継がれている乗法九九の唱え方を記憶することによってその結果を容易に求めることができるという特徴がある。また、累加としての乗法の意味は、幾つ分とい ったのを何倍とみて、一つ分の大きさの何倍かに当たる大きさを求めることであるといえる。
なお、乗法の意味についての指導に関連して、乗法の式をよむ指導を重視することが大切である。その際、一つの乗法の式から場面や問題をつくるような活動も有効である。
b. 乗法に関して成り立つ性質 (イ)
乗法に関して、乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増えるという性質や、交換法則について調べる。
児童自らが乗法九九を構成するとき、乗数が1増えれば積は被乗数分だけ増えることや、交換法則などを見いだし、これらを用いて、効率よく乗法九九を構成したり、計算の確かめをしたりすることが大切である。多様な決まりを見つけていくには、九九表を観察したり、九九表を児童自らが作ったりするなどの作業的な活用が有効である。
c. 乗法九九 (ウ)
乗法九九については、できあがっているものを記憶させるだけでなく、児童自らが構成することを通して学習したり、答えの数値の並び方の決まりを発見しながら学習したりするなど工夫することが大切である。
また、乗法九九は、以後の学年で取り扱う乗法の計算における基礎的な技術として欠くことのできない重要なものである。したがって、それを構成したり理解したりするに当たっては、体験的な活動や身近な生活経験などと結び付けるなどして指導の方法を工夫するとともに、どの段の九九についても十分に習熟し、確実に答えを求めることができるようにすることが大切である。