新しい学びを拓く 算数科授業の理論と実践
2011年。ミネルヴァ書房。
中原忠男編著。
乗法に関するこの節の執筆は清水紀宏氏
乗法の数学的定義についても、集合の要素の数という観点からの定義と、順序という観点からの定義がある。
算数科では、整数の乗法は、一つ分の大きさが決まっているときに、その幾つ分かに当たる大きさを求めるという場面で導入される。整数の世界では、その値を求めるためには、同項累加を行うことになる。つまり、乗法は同項累加の簡潔な表現として用いられることになる。この定義では、3×4=3+3+3+3、 4×3=4+4+4となる。つまり、被乗数と乗数の順序に意味がある。また、交換法則(a×b=b×a)やa×(b+1) =a×b+aが成り立つことに気づかせたい(113-4頁)。
12×4のような多数桁の乗法に関連してアレイ図についても言及があるが、「10と2に分ける方法がよいという序列はつけがたい」ため、お金で発想して10円と2円に分ける方法より低く評価されているようである。
なお、太字で示す引用箇所には省略はない。